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【感想】※ネタバレ注意!!!『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』:スパイダーマン、元気を出して……

日本公開前に、今回のスパイダーマンについて、SNSでごたごた、問題があったよう。
みんな大好きトムホ版スパイダーマンの最新作にして、ネタバレ厳禁の内容となっているため、問題が大きくなってしまったことも理解した。

この記事では、ネタバレしています。ご注意ください。

 

目次
(1)内容について
(2)内容について②
(3)『エンドゲーム』に続き、「映画」というジャンルの定義が更新されたと感じた

 

(1)内容について
終盤のある展開で、とてもビックリした。

事前に、映画館で何回も予告編は観ていて、「ふーん……」と思っていたが、まさか、そういうことかと!!!!
(ちなみに私は、トビー・マグワイア版『スパイダーマン』や『アメイジングスパイダーマン』は、後追いでDVDで観ており、リアルタイムでのスパイダーマン体験は、MCUを見ているなかで出てきたトムホ版『スパイダーマン』シリーズでした。)

トビー・マグワイアアンドリュー・ガーフィールドも、俳優さんとして大好きなので、まさか2022年にもなって、こんな形で再びスパイダーマンをやってくれるとは思わず、それだけで、尊い……。
2人が出てきた瞬間に、鳥肌が立ちました。
トビー・マグワイアに至っては、御年46歳ですって!

今回キーになるのは「マルチバース」という、便利すぎる設定なのですが、これが本当に素晴らしいと思いました。
これまで会社の版権の都合で何度も再始動させられていたスパイダーマンという存在を、そのどの作品やファンのことも肯定しながら、整合性がある状態に持っていけたこと。
「並行世界」的な概念は、日本のアニメでも沢山出てきますが、それをこうやって、スパイダーマンというIPの実際の20年の歴史にあてはめたという、使用方法が、1種の発明で、素晴らしいと思いました。


(2)内容について②
トムホ版『スパイダーマン』は、副題が毎回おしゃれだと思っていました。
1作目「ホームカミング(「お家へようこそ」or 同窓会)」、2作目「ファー・フロム・ホーム(家から遠く離れて)」に続き、3作目である今回の副題は「ノー・ウェイ・ホーム(もう家に帰れない)」。

トムホ版のスパイダーマンは、あどけなさを残すトム・ホランドの容姿や、MCUでトニー・スタークなどにあしらわれる未熟感もあいまって、トビー・マグワイアアンドリュー・ガーフィールド以上に、リアルで等身大の10代の高校生に見えるなと思って、観てきました。

学校では全くモテないし人気者じゃないけど、人気者じゃないなりに、ネットという気が置けない親友がいて、クラスの花形であるMJに恋をして、憧れのアベンジャーズにフックアップされて、イケてるおばさん・メイとは信頼関係を築いていて……と、トムホ版スパイダーマンがこれまで送ってきた高校生活を、見せられてきたうえで、今作「ノー・ウェイ・ホーム」では、最後の最後に、トムホ版スパイダーマンは、世界の危機を救った代りに、全てを失います。
(映画冒頭でドクター・ストレンジに提案したことがここで伏線回収されるのがまた見事)

本当に辛い。
10代にして、天涯孤独となり、恋人も親友も失い、MIT合格もなくなってしまい。
1人アパートで、高卒認定試験のテキストを広げながら生活している。
それでも、今後も「スパイダーマン」として生きていくことにし、妨害受信した無線を受け、1人で戦いに出るトム・ホランド
映画の最後は、雪がちらつくクリスマスのニューヨークのイルミネーションのなかを、彼が1人で空中スイングしていく姿で終わるのですが、何もなかったら、今頃、メイおばさんや、ネットやMJと一緒に、クリスマスを祝っていたはず。
「ノー・ウェイ・ホーム(もう家に帰れない)」どころか、心のよりどころという意味での家(ホーム)を亡くすという着地が切なくて、悲しい気持ちで劇場を後にしました。

 

まぁ、身から出たサビ……ともいえない話ではあるんですが(ドクター・ストレンジが指摘した通り、彼のもとへ行く前にMITに掛け合えばよかったとか、ドクター・ストレンジにお願いをする前に依頼内容をもう1度確認できなかったのか……とか)、それもまた等身大の10代なので、私が同じ立場だったら、同じようにてんぱって、同じような結果になっちゃったんじゃないかと思う。
だからこそ、余計に切ない。
スパイダーマンといえば……」の代名詞である「大いなる力には大いなる責任を伴う」を、初めて会得した、と整理できる結末ではありますが、心に残る切なさではありました。

半年や1年や2年、いや、あるいはもしかしたら10年くらい、寂しくてしんどいかもしれないけれど、どうか、これをバネに、頑張ってくれ……


(3)『エンドゲーム』に続き、「映画」というジャンルの定義が更新されたと感じた

ハイコンテクストが過ぎる。
トビー・マグワイア版『スパイダーマン』3部作、『アメイジングスパイダーマン』2部作を見ていることに加え、一連のMCU作品と、トムホ版『スパイダーマン』前2作を見ていることが前提。

そんな作品に対し、製作費2億ドルで世界をターゲットに公開がされ、既に公開10日間でアメリカやカナダでメガヒットし、製作費を回収してしまっている、という話を見ました。

スターウォーズ』の新3部作がきちんとヒットしたり、『エンドゲーム』があったので、わかっているつもりではいましたが、改めて今作もまた、「わかっている人が楽しめる作品」、言ってしまえば、同人誌みたいな眼差しのある作品です。
ファン向けが主眼になっている映画です。
それが、このような規模で作られ、スマッシュヒットをしているところに、映画(というか映画を通じて作る架空の物語世界)の規模が、私が思っている「映画」とは、数次元違うところに行けるんだぞ!!!という恐怖や尊敬や勇気や刺激や感謝がないまぜになった、ふしぎなパワーを覚えました。

一方で、同じ1,900円を出せば、濱口監督の『偶然と想像』や、大島監督の『香川1区』が、同時に公開されている今日。
一口に言っても、本当に、色々な作品がありますね。

 

エンドゲーム後のMCUに対しては、2021年公開『シャンチー』『エターナルズ』が個人的な趣味にあわず、興味を失いかけていたのですが、トムホ版スパイダーマンと、ドクター・ストレンジは、やっぱり好きだと再確認され、MCUの底力を教えられた1作品でした。

5月『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』(拙訳:ドクターストレンジ、マルチバースで大暴れ!)、楽しみです。
ストレンジ、お前のせいだからな!!! 落とし前つけてあげてくれ!!!!!!!!!!

 

あんまりにもしんみりしちゃうので、『ハウス・オブ・グッチ』の予告編を、無関係に置いておきます。

本編どうなってるかわかりませんが、ここ最近の劇場版予告として、最高のアガリ度をくれました。ありがとうございます。

予告編で大々的に使われている「Heart of Glass」、本編で使われているといいな……!

楽しみです!