メモ箱

映画の感想やポエムなど

イリュージョンが好きだ

諸君、私は映像作品における演出手法の1つ(?)、「イリュージョン」が好きだ。

私はイリュージョンが大好きだ。

この地上のスクリーン上で行われるありとあらゆるイリュージョンが大好きだ。


 

昨日の適当な「マスカレード・ナイト」感想、ラストの展開について「イリュージョン」という用語を使って書いてしまったのですが、「イリュージョン」という言い方であってるのかいまいちわからず、書き散らしています。

 

私が、映像作品における「イリュージョン演出」を初めて知ったのは、アニメ監督・幾原邦彦の作品について評論する文章に触れた頃でした。

(例えば、下記のようなもの)

 

個人的に「イリュージョン演出」として考えるわかりやすい例は、魔法少女アニメの「変身バンク」です。「へ~んしん!」と言いながらステッキを振りかざすと、なぜかそれまでの世界がパッと切り替わり、謎の時空間へ主人公が飛び、現実にはあり得ない現象(魔法少女アニメでいえば「魔法少女への変身」)が起きるシーン。

「変身」

花子が、右手に持ったステッキを上空へ振りかざすと、あたりはたちまちピンク色の光につつまれ、花や星が飛び、華やかな音楽が鳴り響いた。そのリズムにあわせ、花子の全身は光へ包まれながら裸体になったかと思うと、胸元の大きなリボンを皮切りに、スカート、手袋、ニーハイソックスと、魔法少女特有の服装が、花子の四肢を包み込んでいく。

……もちろん、このように文章でも表現できなくはない場面ですが、小説のなかに突然これが出てきても「???」となる可能性が高いと思うのです(というか、読んだ人は間違いなく「あ、アニメの変身シーンか」と、既存のアニメ作品を思い浮かべながら読むと思う)

このように、映像でしか表現し得ない、「それまでの世界がパッと切り替わり、謎の時空間へ主人公が飛び、現実にはあり得ない現象」を、イリュージョン演出と(個人的に)呼んでいます。

 

その意味で言うと、今年観た映画のなかでは『ファーザー』がイリュージョン演出と言っていい作品だったかもしれません(とは言え、あれは叙述トリックの側面が強く、「謎空間に飛ぶダイナミックさとエモさ」がウリのイリュージョン演出とは、言い難いかもしれないですが……)

劇場版『マスカレード・ホテル』と『マスカレード・ナイト』のラストシーンは、私の中では間違いなく「イリュージョン演出」と分類しているもので、あらゆる映像演出のなかで(?? ほんとか???)1番好きな、演出方法です。

 

 

(余談1)イリュージョンを使う珍アニメとして『美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!』(2016年)、「男の子が変身したっていいじゃない」という出落ち1点で突破するシリーズです。好きでした。当時「美少年が変身していいんだね!」という男女逆転ネタがキャッチーで一部には刺さったかもしれないかもしれない……というぼんやりした温度感、そのキャッチーさを取り除いても、高校生活から突然謎の劇場に連れていかれるイリュージョン感は「うわ、好きだ」と、改めて言及してみました。

でもやっぱり美少女から美男子へと変わっただけな作品でもあります……。「男だって魔法少女になっていいじゃない」へ全面へ振った、素敵な作品でした。

 

(余談2)幾原邦彦は、魔法少女変身バンクの元祖(?)『セーラームーン』にも関わった監督、かつ、日本の商業アニメを代表する芸術家で、『少女革命ウテナ』はじめ、どの作品にも必ずイリュージョンを入れてくるので大好きです。頭がおかしい監督として、個人的には日本のアニメ監督のなかで1番大好き(幾原監督のことが本当に好きだったり尊敬している人はとても多いので、恥ずかしい)

 

(余談3)我が(我が?)ヒプノシスマイクのアニメ版も、イリュージョン作品と分類していいかもしれない。