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ネタバレ有【感想】『OLD』 あの子の話が気になった

ネタバレ全開です。

「最近のシャマランにしてもどんでん返し薄目では???」と、「うーん……」と、思ってしまったんですが、宇多丸さんの『OLD』評を聴き、「同じ映画を観ていたはずなのに、なに観てたんだろう……」と、大変反省させられました。

 

※下記、いずれ公式音源等々に差し替えます。すみません。

冒頭、異例なシャマラン監督自身のメッセージ(なんか笑ってしまった)、から始まり、映画内容とは別になんだか意味ありげにちょくちょく本編へ出てきたシャマラン監督の意味……冷静に考えたら彼なりの「映画とは何か」論だったんだな……なんて、わからなかった!!! シャマラン監督流「映画とは何か、の凝縮だ」という宇多丸さんの見立てに、全面的に参りました。

 

シャマラン監督といえば、「」付の「どんでん返しの名手」と、私のような「知ったか映画通」からはどこか一発屋的なネタ扱い、馬鹿にされがちな人ですが……、そこを2015年から「密かにトラウマを抱えてちょっと心を閉ざした登場人物、主人公が、世界の本当の仕組み、成り立ちを知り、その中で自分が果たすべき真の役割に気づき、ずっと抱えていた己のトラウマとか恐怖の根源に改めて向き合うことで、それを克服していく」という話と解釈して、ずっと擁護、支持してきた宇多丸さんならではの、本領発揮のムービーウォッチメンでした。

 

それを踏まえて、私個人としては、「密かにトラウマを抱えてちょっと心を閉ざした登場人物、主人公が、世界の本当の仕組み、成り立ちを知り、その中で自分が果たすべき真の役割に気づき、ずっと抱えていた己のトラウマとか恐怖の根源に改めて向き合うことで、それを克服していく」人が、この作品でも確かに、劇中に1人いたと思うのです。

それは、ホテルを仕切る支配人(?)を伯父さんに持つ、東洋系っぽい子役さんが演じていた、あの子です。

子どもは本質的なので、恐らくあのリゾートに訪れた特定の家族が、挨拶無しにいなくなる経験を何度も体験し、体感で、どういう家族が「特定の家族」になり得るかに気がついてしまったんだような気がします。

そこに、「遊びたい」と駄々をこねる子ども特権で、件のビーチについて、被験者がいない状態の見回り役を仰せつかった下っ端社員の車に乗せられることになり、崖の上から、妙に光る、キラキラした珊瑚礁に、気が付いた……みたいな日が、たまたま、もしかして、あったのかもしれません。そして、それを伯父さんに無邪気に報告したところ、(勝手な妄想ですが)かつてない体罰を食らい、「公言するな」と厳しく叱られた、……みたいなことが、あったかもしれません。

主人公一家がビーチに出発する前夜「明日はアイスクリーム食べ放題大会をしよう(≒言外の「だから行かないで」)」と書き、出発当日「おじさんは珊瑚が嫌い」という手紙を、彼なりの伝言で伝えたあの子が、どういう人生を送ってきてあのリゾートにいたのか、気になる。あの子から見た『OLD』がどういう話になるのか、妄想を搔き立てられました。